欠格要件とは、古物営業の許可(古物商許可)を受けるための要件で、申請をした者が一定の前科があるなど、以下の欠格事由に1つでも該当している場合は古物営業の許可を受けることができません。また、既に許可を受けている者が欠格事由に該当した場合は、許可の取り消しの対象となります。本ガイドでは、申請者(個人)と法人の役員、管理者についての欠格事由をわかりやすく解説しております。なお、許可申請後の警察の審査で欠格事由に該当していることが判明した場合は不許可となり、申請時に支払った手数料19,000円は返却されませんので、申請をする前に欠格事由に該当していないかどうかをしっかり確認しましょう。
❶破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 |
【解説】裁判所から破産手続き開始の決定を受け、いまだ破産法にいう復権事由(裁判所による免責許可の決定が確定した場合など)に該当していない場合は許可を受けることができません。したがって、破産者であっても復権していれば欠格事由には該当しませんので、許可を受けることができます。
❷禁錮以上の刑に処せられ、又は第31条に規定する罪若しくは刑法(明治40年法律第45号)第235条、第247条、第254条若しくは第256条第2項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して5年を経過しない者 |
【解説】まず、どのような犯罪でも禁固以上の刑(懲役、禁固)の言渡しが確定した場合は欠格事由に該当しますので、刑を受け終えたときから計算して5年を経過していない場合は許可を受けることができません。したがって、罰金刑などの禁固・懲役以外であれば原則許可を受けることができます。ただし、以下の犯罪の場合は罰金刑であっても欠格事由に該当し、上記同様に刑を受け終えたときから計算して5年を経過していない場合は許可を受けることができません。なお、執行猶予が付いている場合は、猶予期間を経過したときに直ちに許可を受けることができます。
→無許可営業、許可の不正取得(虚偽申請)、名義貸し、公安委員会からの営業停止等の命令に対する違反になります。
→窃盗罪、背任罪、遺失物等横領罪、盗品等有償譲受等の罪になります。
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❸集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者 |
【解説】上記に該当する者は下記になります。
❹暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの |
【解説】暴力団員による不当な行為等に関する法律により公安委員会から命令又は指示を受けてから3年を経過しない場合は許可を受けることができません。
❺住居の定まらない者 |
【解説】住民票上の住所と住居(実際に住んでいる住所)が異なる場合などが該当します。ただし、住民票上の住所を異動しないことに正当な理由がある場合は「住居に関する申立書」と「公共料金の領収書の写し等」を提出することで許可を受けることができる場合があります。
❻第24条の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して5年を経過しないものを含む。) |
【解説】過去に古物商許可を受けていて、公安委員会から古物営業許可の取消処分を受けた場合は、取消しの日から計算して5年を経過していない間は再び許可を受けることができません。許可の取消処分を受けたのが法人の場合は、その法人の役員も該当します。この欠格事由は過去に古物商許可を受けていた方や、古物商を受けていた法人の役員であった方などが対象となりますので、これまで古物商許可を一度も受けたことがない方などはこの欠格事由は関係ありません。
❼第24条の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第8条第1項第1号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して5年を経過しないもの |
【解説】古物営業許可の取消処分を受けた場合は、取消しの日から計算して5年を経過していない間は再び許可を受けることができません(上記⑥参照)。そのため、公安委員会から古物営業許可の取消処分を受ける可能性がある場合に、許可の取消処分を逃れる目的で自主的な廃業(古物営業の廃止)をしてしまえば、取消処分を受けることがなくなるので、結果的に5年を待たずに再び許可を受けることができてしまいます。そのような不正を排除するため、「許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間」に廃業(古物営業の廃止)をした場合でも、その日から計算して5年を経過しない間は再び許可を受けることができないことになっています。この欠格事由は過去に古物商許可を受けていた方や、古物商を受けていた法人の役員であった方などが対象となりますので、これまで古物商許可を一度も受けたことがない方などはこの欠格事由は関係ありません。
❽心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの |
【解説】国家公安委員会規則で定めるものとは、「精神機能の障害により古物商の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」をいいます。
➒営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であつて、その法定代理人(法人である場合は役員も含む)が上記①から⑧のいずれにも該当しない場合を除くものとする。 |
【解説】「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」とは、婚姻により成年者とみなされた者(婚姻による成年擬制、民法第753条)以外の未成年者のうち、法定代理人から古物営業の許可を受けていない者をいいます。すなわち、未成年者であっても婚姻している者や、法定代理人から古物営業をすることの同意をもらっている者は欠格事由に該当せず、許可を受けることができます。また、上記に該当しない未成年者であっても、古物営業を営んでいた者の相続人であって、その法定代理人が欠格事由に該当していない場合も許可を受けることができます。
❿営業所又は古物市場ごとに第13条第1項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者 |
【解説】欠格事由に該当している者を管理者として選任している場合などが該当します。管理者とは、営業所に係る業務を適正に実施するための責任者で、営業所ごとに管理者1人(その営業所に常勤できる者)を選任する必要があり、管理者についても欠格事由が定められていますので、選任した管理者が欠格要件に該当している場合には許可を受けることができません。
⓫法人で、その役員のうちに第1号から第8号までのいずれかに該当する者があるもの |
【解説】法人での申請の場合は、役員(監査役含む)の中に上記①~⑧までの欠格事由に該当している者がいる場合は許可を受けることができません。
❶未成年者 |
【解説】上記の「申請者の欠格事由」⑨の未成年者とは異なり、婚姻している者や法定代理人から古物営業をすることの同意をもらっている者であっても、ここでいう未成年者に該当し、管理者になることはできません。
❷第4条第1号から第7号までのいずれかに該当する者 |
【解説】上記の「申請者の欠格事由」①~⑦までに該当している場合は管理者になることができません。
❸心身の故障により管理者の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの |
【解説】国家公安委員会規則で定めるものとは、「精神機能の障害により古物商の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」をいいます。